Topics Feature List 特集一覧

市松マーク

 そもそも、かんざしとは?

かんざしとは?

かんざしとは、女性を美しく輝かせる装身具です。
もちろん用途として、髪を束ねることを目的としたかんざしもあります。
しかし、かんざしは、ネックレスや指輪と同じく、髪飾りという装飾品です。

かんざしは、髪飾りという装飾品

1800年代末期のヨーロッパでは、ルネ・ラリック、ティファニー、アンリ・ベベール、ジョルジュ・フーケ・・・などなど数多くのメゾンが髪飾りを発表していました。アールヌーボーで有名なアルフォンス・ミュシャも、髪飾りのデザインを多く残しています。
これらの流れは、日本の江戸時代の浮世絵を初めとした工芸品が、ヨーロッパで紹介されたことにあります。
アールヌーボーの装飾が世界を席巻すると、アールデコが起こり時代が取って代わりました。それ以降の流れは、アールデコのモダンを基調としたデザインから、現在のシンプルモダンへと続いています。

実を言えば、かんざし宮北の「日常かんざし」は、宮北流のアールデコです。
そして、「飾りかんざし」は、宮北流のアールヌーボーです。そしてさらに言うなら「飾りかんざし」は、バロックやロカイユを基本としています。
日本の髪飾りを作る宮北が、ヨーロッパを基本にしているのはおかしな話ですが、ヨーロッパに絶大な影響を与えた日本のデザインが、ヨーロッパの風土を通過した、古くて新しい日本のデザインだと思うからです。

ジュエリーとは工芸であり、造形であり、その土地の文化を表すものです。

かんざしの起源

古来、男女ともに長髪であり、かんざしは装飾ではなく、髪を結う呪術的な意味を持つものでした。
かんざしという言葉の起源と言われる「髪挿し(かみさし)」と言う言葉は、カミサシという棒状のかんざしとして現在も沖縄に残っています。

男性がいわゆる髷(まげ)を結うようになり、男性のかんざしや呪術的な意味は無くなりましたが、女性では、江戸時代の日本髪の時代を経て、髪飾りとして現代へと繋がりました。
呪術的な意味かは解りませんが、かんざしを女性が身を守る最後の武器としたという話もあります。

髪飾りの種類

髪飾りが花開いた江戸時代では、ファッションリーダーであった花魁(おいらん)や、舞妓(まいこ)、芸妓(げいぎ)、武家や商家の子女などの髪飾りの流行から、町人へと広がり、様々な髪飾りが発展していきました。

日本での髪飾りは、簪(かんざし)、櫛(くし)、笄(こうがい)に大別されます。
江戸時代、女性にとって髪飾りは、人気の証であったり、格であったり、プライドであったり、美しさの象徴であったり、恋人との繋がりであったりと、髪飾りを通して色々な思いが込められた大切な存在でした。
江戸の女性達は、簪や櫛を挿すことで、自身を表現したのです。花魁に至っては、何本もの高価な貴金属や、鼈甲のかんざしを挿し、まさに華を演じたのです。

ちなみに西洋では、ヘアピン、オーナメント、バレッタ、ティアラとなります。

髪飾りの材質

髪飾りの材質は様々で、金、銀、鼈甲(べっこう)、象牙(ぞうげ)、木、布、紙、骨、ガラス、セルロイド・・・などなど。あらゆる素材が髪飾りに用いられています。また封建制度もあり、ある程度、身分により使用する材質が分かれていたという記述も残ります。
金、銀、鼈甲が主流で、金を模した真鍮、銀を模した錫やアルミ、鼈甲や象牙を模した贋物が多く登場し嫌われました。しかし、現在では、髪飾りのほとんどが真鍮にメッキを掛けたものや、プラスチック製品で圧倒しています。(真鍮は悪い素材ではありませんが、どちらかといえば工業向けの素材です)

物の美しさは、形の美しさもありますが、素材の美しさでもあります。良い素材というのは、何十年、何百年と保つものです。また、そうでなくては価値はありません。

かんざしの種類

かんざしには、飾り簪(かざりかんざし)、玉簪(たまかんざし)、平打ち簪(ひらうちかんざし)、つまみ簪、松葉簪(まつばかんざし)、ちりかん、びらかん、びらびら簪、吉丁(よしちょう)、両天簪(りょうてんかんざし)・・・など多くの種類が存在します。

これらを分かり易く分けると、
日本髪用のちりかん、びらかん、びらびら簪、吉丁、両天簪。
一般用の飾り簪、玉簪、平打ち簪、つまみ簪、松葉に分けられると思います。(一般用とするのも変ですが、日本髪を一般の方が結うことがない現在では、この方が分かり易いと思います。)

ちりかん、びらかん、びらびら簪も、平打ち簪のように現在の髪型でも使えそうなのですが、下がり物が付きますので前髪用の「前挿し」かんざしです。時代劇などで、武家や商家の若い女性などが、向かって右前に挿しているかんざしです。
現在、多く見られるかんざしの挿し方は、サイドからバックへ向けて挿す「後ろ挿し」が一般的です。右サイドに一本挿しや、右に大降りを一本、左に小降りを一本がバランスの取れる挿し方です。

成人式や、若い方の振り袖などでは、つまみ簪(花簪)や、コサージュで華やかに飾られた姿を見ます。若い方の特権のように華やかです。
かんざし宮北でも、それに負けない華やかな貴金属のかんざしを作ってみたいと思います。

かんざし水平線
かんざしとは? / About Kanzashi
前の特集 previous  /  next 次の特集